吸入性アルツハイマー病:認識されていない、治療可能な疾患の蔓延

Inhalational Alzheimer’s disease: An unrecognized— and treatable— epidemic
AGING, February 2016, Vol. 8 No 2

■解説

この論文は、デール・ブレデセン医師の提唱する3型アルツハイマー病(毒物性)の中でも、カビが作り出すマイコトキシン(カビ毒の総称)などを原因とする吸入性のアルツハイマー病についての報告。3型アルツハイマー病は特定の毒素に曝露した結果であり、最も一般的な経路は「吸入性(inhalational)」、つまり毒素に汚染された空気を吸い込むことによるもので、マイコトキシンのような生物毒素が慢性炎症反応症候群(CIRS)を引き起こし、結果としてアルツハイマー病を呈していることを指摘している。

近年、アルツハイマー病には3つの異なるサブタイプ〔1型(炎症性)、2型(非炎症性あるいは萎縮性)、3型(皮質性)〕があるといわれており、患者のサブタイプが特定できれば、治療手段の検討に大きく役立つ可能性がある。

認知機能が低下した患者においては、吸入性のアルツハイマー病が隠れている可能性があり、この病原性の状態が重要な意味を持つことを適切に認識できれば、現在、正確に診断されず、深刻な病状の患者を治療によって回復することができる可能性が広がる。

毎日無意識に吸っている空気中のカビ毒がアルツハイマーの原因となっている可能性があると考えると、湿度が高く梅雨時や冬の結露など、カビと縁の多い日本で潜在患者は多いかもしれない。

「アルツハイマー病は慢性的な自然免疫の活性化に関連しており、カビと関連するカビ毒は自然免疫を活性化させる最も一般的な要因です。
また、以前は中毒と神経変性は明確に異なるものという見方もありましたが、例えばMPTP(ドーパミン神経毒の一種)や殺虫剤がパーキンソン病を、マイコトキシンや水銀がアルツハイマー病を、アンノナシン(グヤバーノという果物に含まれる物質)が進行性核上性麻痺(PSP)を引き起こすことなどが知られています。神経変性は原因なく起きるものではないのです。」(デール・ブレデセン医師)